大和製衡は、一般家庭用から産業機器向けまで、多岐にわたって計量機器を手がける国内唯一のはかりの総合メーカー。世界最先端の「定量計量」をコア技術に、世界130ヵ国以上の人々へ向けて高精度な「はかり」を届けています。
実は、はかりの精度というものは、ものづくりはもちろん、自然環境にも大きな影響を与えます。
たとえば、食品や飼料、粉粒体などの計量は、表示内容量よりも1%ほど多く原材料を増量することで不足を防いでいます。その余剰分を限りなくゼロへと近づけることで、歩留まりの大幅な向上や、世界規模の省資源化につながっていきます。
そして、こうした計量機器の「はかりの精度」と「ベルト・ゴム製品の性能」には、深い結びつきがありました。
1gの歩留まりを、0.3g、0.2gと、ゼロへ近づけていく。
2020年に創業100周年を迎える大和製衡。本社は兵庫県明石市の名所である明石城跡からもほど近く、ゆたかな歴史の厚みを感じさせます。
しかし、「100周年はあくまで200周年へ向けての通過点」と、社員のみなさんは既に次の100年を見据え、世界最先端の定量計量技術にさらに磨きをかけようとされています。
今回お話を伺ったのは、こちらのお二人。大和製衡さまの正装であるロゴ入りのジャンパーをまとってインタビューにお応えいただきました。
本社には、大和製衡の歩みを丁寧に伝える展示室ルームも。
戦後間もなく駐日米軍用につくられたバスルームスケールなど、
歴史的にも貴重な資料が並びます。
計量機器をつくるうえで、大切にされているのは、どんなことでしょうか?
新保:私たちの会社は「精度」に非常にこだわっていまして、どうやったら精度を向上させることができるかということを日々追求しています。特に定量計量では、目標重量が決まっていますので、いかにしてその重量に近づけるかということが、ひとつのポイントになります。
定量計量では、どのくらいの精度が求められるものなのでしょうか?
新保:たとえばこちらの全自動式組合せはかり「データウェイ™」は、クッキーやスナックなどのお菓子から、冷凍食品、ペットフードまで、幅広い食品の計量に使われています。
商品にもよりますが、一般的には100gのお菓子に対して歩留まりが1g程度ならOKと言われています。しかし、私たちとしてはそのもっと下の桁、0.3〜0.0gを目標としています。
データウェイ™
1gと0.3gでは、歩留まりが大きく変わってきますね!
この組合せはかりには、バンドーさんの「バンコランシート」という製品を使っています。被計量物を制御するためのウレタン製のゴムです。
特に最近はヨーロッパでPIM規制への対応が求められ、食品が接触するところの材質が厳しく規制されています。そこに適合する素材を使えて、かつ、計量を行うために適切な硬さ、厚み、加工性を備えた製品を探したところ、国内で唯一、バンドーさんのバンコランシートが該当したのです。
高強度、耐磨耗性、振動吸収性、耐衝撃性などの
性能を併せ持つバンコランシート。
国内で唯一だったのですか。
新保:はじめはシリコン製のラバーも使ってみたのですが、シリコンはどうしてももろくて破けやすく、異物混入のリスクにつながりかねない。PIM規制には触れないけれども、食品衛生から見たときに課題がありました。その後、ヨーロッパ向けの製品はすべてPIM対応バンコランシートに変えることになりました。
異物混入のリスクにも備えての切り換えということですね。
新保:20〜30年ほど前は、業界も今ほど異物混入に対してシビアではなかったのですが、私たちとしては対策を打っておかねばという考えでした。そこからオレンジのバンコランシートの採用がはじまり、大きなトラブルもなく、PIM対応バンコランシートを採用し、今に至っています。
ベルトの厚み、硬さ、継ぎ目。すべてが精度に影響する。
新保:もうひとつ、自動機器事業部では「オートチェッカ」という製品にもバンドーさんのベルトを活用しています。オートチェッカは、はかりの上にベルトコンベヤが乗っているかたちで、コンベヤが回っている状態で流れてくる商品を計量します。
そのため、ベルトの性能が非常に重要になってきましてね。ベルトの厚みにバラつきがあると精度に影響しますし、ベルトが硬過ぎてコシがあっても精度に影響します。厚みと均一性と硬さは、「はかりの精度」と密接に関わっています。
ベルトの性能は、はかりの精度に直接影響するのですね。
新保:採用しているのは「バンドーPSベルト®」という製品なのですが、さまざまな条件を満たしているうえ、ベルトに継ぎ目がなくシームレスであることが一番の決め手になりました。継ぎ目があるとどうしてもそこが計量に影響してしまいますからね。今は「オートチェッカ Jシリーズ」というシリーズを展開していますが、その前のシリーズからPSベルトを使っています。
オートチェッカJシリーズCMJ30L
継ぎ目のないベルトが特徴の「バンドーPSベルト®」。
動いている原料の一部を量り、全体の重さを知る。
岡本:私たち産機事業部では、製鉄やセメントなどの大規模なプラントに向けて「はかり」を提供してきました。
1960年代〜70年代にかけて日本各地で製鉄所が建設されたのですが、高炉を一基つくるだけでも、3桁にのぼる多くの「はかり」が必要になります。当時の社員たちは、製鉄所のなかに現場事務所を建ててその対応に臨んだと聞いています。
ひとつの施設につき、はかりが数百台も……。
岡本:ベルトとはかりを組み合わせた製品で代表的なものが「コンスタントフィードウェア(CFW)」というものです。この製品はセメントの原料配合などに使われていて、非常に特殊な量り方をします。
コンスタントフィードウェア(CFW)
ベルトコンベヤでずっと原料を流しているのですが、実際に計量を行うのは一部分だけなのですね。「一部を量って全体の重さを知る」という特殊な計量が求められますから、はかりとは違うところでいろいろな影響が出てきてしまう。
たとえば、ベルトの重さが量るタイミングによって違ってしまうと、計量結果が大きく変わってしまう。もっと言えば、ベルトの張力が変わるだけでも結果は変わります。ベルト自体が一日のうちに伸び縮みしますから、その影響もある。ベルトの蛇行や厚み、継ぎ目の硬さからも影響を受けます。
とても厳しい条件ですね。
岡本:突き詰めると、かなりシビアな世界なのです。そんな中、バンドーさんには標準よりも厳しい基準のもとでベルトをつくってもらっています。製鉄所の隆盛期から60年以上にわたって、いろいろと改良を重ねてもらい、今の計量用ベルトがあります。時には、現場でのトラブルに対応するために、遠方へと同行してもらったこともありますね。
今、ふたたび注目される「給炭機」。
岡本:産機事業部では、給炭機にもバンドーさんのベルトを採用しています。電力の発電・供給の在り方が世界的に見直される中、火力発電所や企業単位での自家発電のニーズが高まっています。
石炭の供給量を制御し続ける給炭機には、計量の精度に加えて、とにかく止まらないことが求められます。24時間連続運転で2年間停止しないこと。非常に高いレベルの耐久性や制御性が求められる中、バンドーの「フレクスベル® コンベヤベルト」を採用しています。
耐圧型給炭機
このように、計量機器とベルト・ゴム製品はさまざまな所でつながっています。これからも、計量に適したベルトのニーズというのは一層高まっていくはずですから、バンドーさんの今後の提案に期待しています。
給炭機に採用されている「フレクスベル® コンベヤベルト」。両側が
扇状にひらくようになった波桟付きベルトで落炭を防いでいます。
「はかり」と「ベルト」は、とても広く、深く、結びついていました。同じ兵庫県発のものづくり企業、100年企業として、バンドーは次の100年も、大和製衡のみなさんとともに歩んでいきます。
大和製衡様を取材して
同じ兵庫県の会社ということもあり、バンドー化学と創業のルーツが非常に近く、長きにわたりお付き合いをいただいているお客様になります。
コンベヤベルトやバンコランシートなどバンドー製品を多くご愛顧いただいていると伺い、とても嬉しく思いました。
時代に沿った「はかり」を生み出している大和製衡様に、これから先も「バンドーさんにしかできない」と言っていただけるよう、より良い製品、より良いサービスをお届けしていきます。
大和製衡のお二人と、
バンドー・I・C・S株式会社の松本憲一、竹内茉莉子
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