バンドー化学

三菱製紙グループの主要な生産拠点である北上ハイテクペーパー様。レジンコート紙と呼ばれる写真用の印画紙などの特殊な用紙製造を担い、写真用原紙を原木から最終製品まで一貫で製造している世界唯一の製紙工場でもあります。そのような同社の省エネルギーに対する取り組みについて、パルプ製造部 原質課 元澤課長にお話を伺いました。

国産広葉樹のみを使用することで高い品質を維持

今回取材させていただいた北上ハイテクペーパー様は、1965年に操業開始。長年三菱製紙の主要生産拠点の1つ「北上工場」として稼働し、2005年に三菱製紙より分社しました。今も三菱製紙グループの一員として、高い品質が要求される写真印画紙用原紙をはじめ、インクジェット用紙、さらにティッシュペーパーなどの衛生用紙を生産しています。木材の集荷からチップ加工、パルプ生産、紙の製造まで一貫して行っている国内では数少ない製紙工場です。またこだわりの高品質の製品は海外でも高く評価をされ、東北から世界各国に輸出をされています。

元澤課長
「当社は、岩手県を中心に、100%東北地方の広葉樹のみを原材料としてパルプや紙を生産しています。針葉樹では、当社が生産している高密度かつ平滑度の高い特殊な紙に対応するのは難しいために、広葉樹を使っています。また、広葉樹は伐採しても30年程経てばまた自力で再生してくるために、サステナビリティや環境保全に貢献することもメリットと言えます。さらに地元の国産木材を使うことで品質が非常に安定し、地元貢献にもつながっています。」

省エネ対策の打開策として「HFD System」を導入

近年、業界や業種を問わず生産コストに対する意識は高く、さらにサステナビリティ実現への欲求も高まりつつあります。三菱製紙グループ中での電力の大型消費工場である北上ハイテクペーパー様も、節電をはじめとする継続的な省エネ活動が求められ、定期的に改善報告する必要がありました。伝動ベルトの領域でも従来の省エネタイプのベルトを試用するなど、さまざまな取り組みを行いましたが、期待したような効果を得ることが困難でした。

元澤課長
「より良い施策を模索していた際中に、省エネ大賞受賞製品を紹介している冊子で見つけたのが、バンドー化学のHFD System(Hyper Flat Drive System)です。接触面積を少なくしてロスを無くせば省エネにつながるはず。その点、HFD Systemは理に適った製品だと思い導入することにしました。」

「バンドー化学のアドバイスもあり、比較的出力の小さい送風機などの局所排気設備から導入を開始。徐々に大容量の機器に導入したり、風送ファンや腐食環境下で実験的に試用、バンドー化学も耐食性を上げたパーツを開発する等、共にノウハウを蓄積していきました。」

明確な省電力効果に加えてメンテナンスコスト削減にも貢献

HFD Systemは、優れた省エネルギー性が認められ、2013年度「省エネ大賞」(製品・ビジネスモデル部門)において「資源エネルギー長官賞」を受賞。2014年には「兵庫県発明協会会長賞」も受賞した当社の伝動技術の粋を結集した製品です。完成までに開発期間5年を要し、平ベルトによる「究極の伝動効率」を目指しました。シンプルな機構によって最適な蛇行制御と張力補正を行うことで、究極の伝動効率を持つ平ベルトの特性を、最大限発揮させることに成功しました。北上ハイテクペーパー様では現在、送風機やブロアーなど合計4台までHFD Systemの導入機器を拡大。当初の目標どおり概ね3~4%の省電力効果を得ることができています。

元澤課長
「今回のHFD System導入は、節電による省エネが大きな目的ですが、メンテナンスコスト削減に対する期待も大きい。Vベルトを使っていた際は1年程で交換していましたが、HFD Systemでは現時点は点検のみで全くメンテナンスが発生しておりません。プーリーもほとんど交換しなくていいのではないでしょうか。」

「ほぼメンテナンスフリーになるのと同時に、Vベルト交換時に指が挟まれるなどの事故発生リスクも減少し、安全性が向上しました。」

今後は大型ファンなどにも導入。さらに省エネ効果を大きく

省エネ施策として今後は、大容量機器への対応を検討していきます。バンドー化学としてもHFD Systemの大容量の領域に納入実績が増え、ノウハウが蓄積されていますので、より大きな容量の機器に導入することで、節約できる電気の絶対量が増え、より大きな省エネ効果を得ることになります。

元澤課長
「印画紙を生産している工程は準クリーンルームなのですが、最終的にはそちらの送風機などにHFD Systemを導入するのが目標です。クリーンルームでは、室内の空気を循環させるための大型のファンや、同じく給排気ファンも相当大きなものを使っているので、HFD System活用による省エネ効果もより大きくなると考えています。また、HFD Systemは粉塵の発生も少なく、そういった意味でもクリーンルームでの使用には適しています。」

HFD Systemは発売以来、導入先のお客さまの生産現場で多くのノウハウや実績を積ませていただき、お客さまの下で成長してきました。製造現場においてお客さまのご要望にお応えしつつ、高負荷タイプや防錆仕様、また、大容量対応と同時に小容量タイプを開発。その結果、工場などの送風機をはじめ、ビルや公共施設の空調設備などさまざまな場所への導入が進んでいます。その規模は、世の中の同種の装置数や駆動時間を考慮すると、発電所1~2基分にも相当するような節電インパクトに達しています。


バンドーI・C・S 北上営業所 長井 と 元澤課長

バンドー化学は、今後もHFD Systemなどを通してさらにお客さまの省エネルギーや電力・メンテナンスのコスト削減、さらには環境保全や工場の安全性向上に貢献できるよう尽力してまいります。

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